自社のサービスのニーズと購買行動を「知る」 【経営戦略室編】
セブン・ペイメントサービスは、セブン銀行100%の子会社として2018年1月に開業。セブン銀行ATMを利用した 「ATM受取・ATM集金」という法人向けの送金サービス、ならびにセブン銀行法人口座の法人窓口として活動しています。
今回は、自社サービス「ATM受取」をさらに成長させるために行った組織改革。そして、マーケティング戦略・セールス力向上トレーニングを通じて見つめる今後のビジネス展開を、代表取締役の河邉氏と営業部 部長の三浦氏に伺いました。
導入ツール
提供サービス
Before
- 組織構造の再設計×役割の明確化できておらず、各部長の役割と権限が不明確
- お客様のことを100%理解できていなかった
- 目標とする営業数字とそれを達成するためのリード~CV目標に根拠がなかった
- お客様がATM受取の何に期待しているのか、サービスの強みを理解できていなかった
- セールス力向上に向けたトレーニングができていなかった
- サービス内容の説明に終始してしまっていることが多く、企業の課題に寄り添った商談ができていなかった
- 各営業担当者の商談手法をマネジメント層が把握できておらず、適切なアドバイスができていなかった
- 商談内容や提案資料のナレッジの共有がされていなかった
After
- 組織構造の再設計と役割の明確化がなされた
- CSと口座ビジネス推進部&営業サポートを分離し、CSに専念できる組織となった
- 組織を分かりやすく分割したことにより、人材が不足している業務が明確化され、人員計画が立てやすくなった
- デジタルマーケティング戦略策定ができた
- 営業上の目標数値と、リード数等との相関関係が見えるようになったことにより、目標数値が具現化できた
- 顧客のことで、見えていなかったことおよび知らない部分が明確になった
- セールス力向上に向けたトレーニング
- ロールプレイングを実施したことで、各営業担当者の良い点・改善すべき点が明確となった
- 商談前の事前準備内容の質があがり、仮説をたてて商談に臨むことができるようになった
お客様ご自身が「成長する」サービスの提供
〜自社サービス向上のための組織改革〜
組織改革に取り組もうと思ったきっかけを教えて下さい。
弊社には、創業以来「ATM受取」という、セブン銀行のATMを使うユニークなサービスがございます。しかし、まだまだ一般に広く知れ渡っていないということも踏まえ、5周年を迎える節目にさらに大きな成長をするため、フライクさんのお力を借りながら組織開発に取り組もうと考えました。
セブン・ペイメントサービスが今まで行ってきたATM受取は、非常に好評ではあったものの、ATM受取を使っていただいたお客様へのサポート、フォロー等が一切ない状況だったのです。
ですので、ATM受取を知っていただくだけでなく、現在利用しているお客様に対して「何ができるか」を考えたときに、お客様に対するカスタマーサクセスをやっていく組織が必要だと見つめ直しました。
三浦様から見た課題はいかがでしょうか。
1つは営業担当者の属人化してしまっている点です。
営業担当者によって成果にばらつきがあり、情報共有もない中でそれぞれが違ったツールを使ってお客様にご提案を行ってしまい、なかなか最適な提案ができていない状況だったんですね。
2つ目はリードの獲得の状況が芳しくなかった点です。
弊社がアプローチしたい業種や企業にリーチをするということが難しい状況がずっと続いていて、なかなか成果も上がらないといったところを課題に感じていたのです。
購入に至るまでのプロセスの「見える化」と「共通認識化」
〜顧客の購買行動と、自社サービスの強みを「知る」〜
組織改革にあたり、具体的に取り組んだ内容について教えてください。
カスタマージャーニーマップを作成し、お客様が商品・サービスを知ってから最終的に購買に至るまでのプロセスを「見える化」「共通認識化」しました。
そこで、我々がお客様のことを何も知らないということが分かったのです。
お客様がどういう形で弊社を知り、何を課題として、どのような過程で解決できたのか。そういうところを私どもはきちんと分析できていませんでした。
それらを踏まえて、新規のお客様に対しては「そもそもATM受取がどういうサービスなのか」ということを分かっていただけるコンテンツを用意し、サービスに対する期待感を高めていただきたいと考えます。
既存のお客様に対しては「ATM受取の新しい使い方や、他の企業様の使い方」などを知っていただき、ご自身の会社でも「こういう使い方ができるのではないか」というご意見を積極的に吸収していきたいです。
組織改革成功への道【セールス向上プロジェクト】
〜営業マンが「どんなビジョンを見ているのか」を「知る」〜
フライクの用意したトレーニングプロジェクトを進めてみていかがでしたか?
今回のトレーニングを通じて、組織の中に変化は生まれたでしょうか?
「営業マンの能力の向上」は、今まで属人的に個人の能力に任せていましたが、それだと人によって営業成績がばらけてしまいます。
そこで、今回の組織改革を機に、各営業マンの行動を段階的に理解できるようSalesforceを導入しました。
各営業マンに対して「何ができるのか」「どこが足りないのか」ということをお互いに話し合いながらできる環境を作っていこうと思ったのです。
まず、事前準備を我々(上層部)が見ることで、その営業マンが「どんなビジョンを見ているのか」をマネジメント層が把握できます。そして、我々がアドバイスをすることで、営業マンたちがさらに深いところまでお客様のことを「知る」ことができると考えます。
ただ、事前準備をしっかり行いすぎると時間がかかるので、それらをどのように時短できるかという事務処理能力も鍛えられていくでしょう。
今はフライクさんに伴走いただいて、営業担当者のスキル向上ということに取り組んでいます。将来的には、営業個々人が自立して目標に向けて活動していく組織にしていきたいです。
「ハイタッチ」から「テックタッチ」へ
〜5周年からその後につながる企業成長〜
今後のビジネス展開について教えてください。
セブン・ペイメントサービスは、5周年を迎えてさらに大きく成長しなければいけません。
課題はまだまだたくさんありますが、現在はお客様に使っていただくためにカスタマーサクセスを充実させたいと考えます。
今、我々はハイタッチの分野で少しずつはじめている状態です。これからはテックタッチの分野にも取り組んでいきたいと考えています。
セブン・ペイメントサービス様にとってのフライクの存在
〜代表取締役・河邉 弦氏より〜
フライクさんは我々と面識のない会社であったにもかかわらず、社長の大瀧さんが私どものやりたいことに対して「良い」「悪い」をはっきりと言っていただいたことが印象的でした。
今までのコンサルさんは、どうしても依頼主であるセブン銀行またはセブン・ペイメントサービスに対しておもねるような発言があったのですが、本気で私どものことを考えていただいて判断いただいていると嬉しく思ったのです。
もともとシステムのコンサルをお願いしていたのですが、経営のコンサルに関しても「システムと経営は必ず両輪で動くものですから、片方だけのコンサルというのはあまり意味がない」と感じていました。
今回フライクさんと、システムのことを知りながら経営として何を把握しておくべきなのか、そして何を管理するのか。深く会話ができたということが非常に良かったです。