積算〜請求まで一気通貫のシステムを実現
〜脱エクセル&ペーパレスで6分の1の時間短縮〜
株式会社ナスクは、熊本県合志市を拠点とする建設会社です。学校や病院、空港などからオーダーを受け、内装やそこに置かれる建具などの木製の家具を手掛けています。「木」という自然素材の魅力を引き出し、多くの人が利用する施設にふさわしい温かみのある建具や家具を生み出しています。
今回は、ナスク様が Salesforce を導入する前に抱えていた課題や導入後の成果、これからどのように DX を推進していきたいかなどを、代表取締役の永田氏と工事管理課長の梅田氏に伺いました。
導入ツール
提供サービス
Before
- 顧客/案件情報をExcel管理。その結果、Excelを保有しているメンバーしか情報を把握できず、会議をしないと把握できない状況
- 工事における外部委託費用が、決済のタイミングにしか把握できない
- Excelによる請求書作成およびフォーマットがバラバラ
After
- 顧客/案件情報がリアルタイムに把握。会議では翌四半期の稼働と繁忙期を見据えた外注委託についてディスカッション
- 各担当が外注予定金額を登録し、承認申請をすることで常にキャッシュフローを予測
- 請求書の作成〜送付までの作業工数が6分の1に短縮
「強い会社・良い会社」のために、IT化を進めたい
〜「働きがいのある会社」づくりを目指して〜
システムを導入する前はどのように業務を進めていましたか?
建設業はいまだに紙に手書きで記録することが多く、わが社も以前はご多分に漏れずなんでも手書きでした。そのため重要な案件やお客様の情報を共有できずに問題が起こったり、無駄や無理が発生したりもしていました。
2047年に100周年を迎えるにあたり、「強い会社・良い会社」をビジョンとして掲げました。「強い会社」とは、財務基盤を安定させ永続する企業です。そして社員さんが安心して働き、希望を見いだせる「良い会社」にしていきたい。
そして、特に「良い会社」にするためには、今の仕事のやり方のままではいけないと強く思いました。働きやすい環境、生産性を高められる環境をつくるため、IT化に取り組むことを決めました。
以前から紙だけでなく、Excelも利用していました。でも、Excelファイルが個人のローカルや共有フォルダなどに散らかっている。それって物理的に紙が散らばっているのと変わらないですよね。私は、この会社には「こうしたらよくなる」「こうしたら速くなる」という材料も環境もあるのになんで改善しないんだろう、と思ってたんですよ。
そんなタイミングで社長が変わり、永田からIT化に取り組みたいと聞きました。DXを進めていくことは大賛成でしたので、二つ返事で「やります」と答えました。
建設会社特有の業務として注文や工事の予定・工程の管理などがあるかと思いますが、IT導入前はどのように管理されていましたか?
工事の管理をする役割の人間が複数いたのですが、管理方法は彼らの裁量に任せていました。なので、それぞれのやり方が存在していましたね。
紙に書くことは誰でもできるので、不便がないとそのやり方がずっと残ってしまう。なので、メールが導入されても紙に書くだけでその内容をメールで送れない人がいる、という状況でした。
情報のブラックボックスがある会社に働きがいは生まれない
〜時間削減だけではない「情報の可視化」の副産物〜
IT化を進めることになり、どのようなシステムを導入しましたか?
今はSalesforceで工事予定台帳、週間工程表、そして外注管理表を管理しています。
Salesforceを導入してどんな成果があったか教えてください。
最近、Salesforceで週間工程表を管理するようになりました。今までは2週間に1回、各々が覚えている範囲で紙の工程表に内容を書いていました。そうすると抜け漏れがあったり、実態と全然違ったりすることも。
Salesforceの導入後は見積書の提示などの早い段階から情報が紐づいて工程表に反映されるので、ミスや抜け漏れがない。情報の精度も確度も上がりました。
最大の違いは、Salesforceで管理することで、見積書の提示や内諾などのフェーズから製作の人が情報を把握できるようになったこと。つまり、Salesforceによってブラックボックスがなくなり、いいことも悪いことも共有できるようになったんです。先ほど永田から「働きがいのある会社にしたい」という話がありましたが、働きがいってそういうよく分からない部分があると出てこないと思うんですよね。
今までは2階(積算・営業・管理部)だけで話がまとまったあとに話が降りてくるので、時には製作の方から「なんでこのタイミングで依頼があるの、全然作る暇ないじゃん」という反応が起こることもありました。これでは製作の方にとってフェアじゃない。
それでも、製作の方は「仕方ないね」と進めていました。今では早いフェーズから案件が可視化されます。これは大きな違いです。
これまでは請求書の確認だけで1件につき30分。Salesforce導入後は5分で済むように
〜月6回の請求業務がSalesforceで劇的に変化〜
請求書の作成や送付業務についてはいかがでしょうか?
請求書に関しても、以前は月に1回、営業の方が思いつく限りの情報を紙に書き込んでいました。
Salesforceで管理することで、こちらも見積書の段階から情報が入ってきます。リアルタイムで情報を把握できるし、リンクをたどれば話をさかのぼれます。
作成時間自体はSalesforceの導入前後でそれほど変わっていませんが、以前は請求漏れなどの確認のための時間が1件につき30分くらいかかっていました。
導入後は1件あたり約5分、今までの6分の1で済みます。わが社は請求業務が月に6回ありますので、1回あたり25分、月に約150分の時間を節約できました。
以前は請求書を書く作業一つとっても、紙を取りに行く、情報をたどる、金額を確認する、宛先や工事名、金額を書くなどの工程がありました。月に6回請求書を発行するので、発行・確認・管理、売上に反映するなどそれにまつわる業務も月に6回発生します。
Salesforceを導入してからは、請求書に記載する内容は何もかも決まっていますので、合っているかをチェックするだけでよくなりました。なので、全てが楽になりましたね。
Salesforce導入前からExcelは使われていたとのことですが、Excelでなくシステムを導入したからこそできるようになったことはありますか?
以前はExcelのファイルを自分のパソコンに溜めたり、共有フォルダに入れたりと管理方法がバラバラ。そのため、共有フォルダを見てもこれが全部なのか一部なのか分からず不安でした。Salesforceは一元的にデータが集約されるので、見れば全てのファイルがあることに大きな安心感を覚えます。
システム導入にあたり、フライクにシステム組立を依頼された理由を教えてください。
私たちのような中小企業がDXやデジタル化に取り組むとなると、まずどこに頼めばいいのか分からない。メーカーや代理店の利幅が高いものを押し付けられないか、本当に自社の課題に適した提案を受けられるのかという不安もありました。
フライクさんは不利な情報もオープンにしていただき、売ろうとするのではなく課題解決にフォーカスしてくださいました。
実際にフライクさんとシステムを組み立てましたが、担当の新堀さんからは私たちの目線で丁寧に提案していただきました。システムを完成して終わりではなく、完成してからも本当に信頼のおけるお付き合いができていると感じています。
システムを導入する工程で大変だったことはありますか?
反対意見や障壁はどの会社でも起こることだし、DXを進める上で一番大きい壁になるだろうと想定していました。だから起こってもあたふたすることはなかったです。
システムは導入したあとから、こうしたいとかこうじゃなかったとか、そういう点がどんどん見つかるんですよね。でも、特に梅田が中心となってみんなの声を集めてくれたり、現場目線での改善案を考えてくれたり、私の良き相談相手にもなってくれました。
働きやすさから戦略的な予測まで、システムがあれば実現できると確信
〜システム導入後の展望〜
今後、DXをさらに浸透させる上で課題と感じていることはありますか?
現在は社内の半分以上の方はシステムの利用に巻き込めました。ただ、まだ残りの2〜3割の方は理解が浅かったり、何度か操作説明をしても効果が見られなかったりという状況です。今は彼らに対してどうアプローチするか考えているところです。
ナスク様が今後のビジネス展開をするにあたり、システムに対して期待していることを教えてください。
現在はSalesforceで案件や顧客を管理していますが、今後は生産管理までできれば、と考えています。これで生産性が向上し、働きやすさにもつながると期待しています。生産管理のデジタル化については今後もフライクさんにアドバイスをいただきたいです。
これからはシステムを活用して戦略的に先を読んでいくことが大事だと思っています。今はSalesforceを導入してなんとなく使えるようになったフェーズ。次のステップのためには「数字やデータはこうすれば活用できるんだよ」というところを見せたい。既に一度オリエンテーションをしましたが、まだピンと来ていない社員も多いです。これはもう地道にアプローチし続けるしかないかなと思います。
ナスク様と同じように、地方の中小企業でシステムを導入してDXを推進したいと考えている企業の方は多いと思います。そんな方々に向けて、先輩としてメッセージはありますか
システムを導入すると問題が起こったり思い通りにいかないことは当たり前です。そこで「こういう問題が起こるだろうな」と具体的に予測できるかに尽きると思います。
私は「改善できる環境が整ってるのに、何でやれないんだろう」と思った時に周りを見渡して、「それはできんわな」と自分なりの解を持っていました。また、システムを使っていく社員は何年も一緒にいますので、みんなのリテラシーや気質、こう言ったら嫌がるだろうな、ということも分かる。
これらを分かった上でシステムの話をしているので、プロファイリングや分析力があるわけではなく、長い時間の中で培ってきたものが先読みの材料になった感じです。
2047年に会社の創立100周年を迎えますが、どのような会社を目指していますか?
IT化も含めて木工業界をリードしていく存在でありたいです。そのために、どこよりもIT化を進めて働きがいのある会社を作り、社員さんとともに熊本から未来を明るくしていきたいです。
フライクにとってのナスク様の存在
株式会社フライク 担当:新堀より
IT化の波はあらゆる業種に影響を与えていますが、建設業界においてはなかなか進んでいないといわれています。そんな中、ナスク様は顧客管理から営業管理、案件の進捗管理、売上予測および外注予定費の管理、請求の会計連携(freee)までをSalesforceで一元管理できる環境を構築しました。
プロジェクト開始時はITに対する苦手意識もあり、後ろ向きになってしまうこともありましたが、今では「システムがないと困る」とおっしゃるまでに有効活用していただいています。システムだけではなく、社員のみなさまに関する変化も実感されており、フライクが理想とするDXの推進者となられました。
フライクがナスク様に対してできることは、システムをより便利にすることです。数字の把握・改善、従業員の業務効率化、働き方改善はもちろんのこと、創業100周年に向けて「強い会社・良い会社」を作り上げるお手伝いをするために、私たちフライクも常に成長し続けます。